F1史上、最も珍なる……。 | 猫のおなか

F1史上、最も珍なる……。

前日の予選から嫌な予感はあったのだ。

事の発端は金曜の公式練習走行。トヨタのリカルド・ゾンタとラルフ・シューマッハの左リアタイヤが相次いで問題を起こしスピンした。ラルフは激しくクラッシュし、本人に目立った外傷はなかったものの大事を取ってこのレースは走行を断念するに至った。

これを受けて、ミシュランタイヤが予選までに動きを見せた。現行のタイヤの安全性に疑問が生じたことを理由に、FIAへ代替えタイヤの持ち込み許可を申請する一方、全ミシュランユーザーチームに対して、安全性の確保出来ない現行のタイヤでは10周以降走らないように、またFIAへの申請が通らなかった場合、レース自体への不参加を決断して欲しいとまで要請したのだ。
また、FIAに対しては代替えタイヤが許可されない場合は、直線部分にシケインを設け、スピードを抑えるようにして欲しいとも提案した。安全性を重視するために、現行ルールを今回に限り見直して欲しいという内容だったのだ。

予測できたことだが、FIAはミシュラン側のこれらの要望をすべて却下した。もちろん、ミシュランのワガママな言いぐさではあるだろう。プロならキチンとした製品を提供すべきで、それが出来なかったからルール変えて!は甘えんな!って感じではある。しかし、参加チーム中多数が現在はミシュランを選択しているのだから、今回の「FIAへのお願い」自体が苦渋の選択だったんだろう。
かくして、関係者が一番懸念していた(事故などを除いた中での)最悪の事態を迎えることになった。

ミシュランタイヤを選択していたすべてのチームが、オープニングラップに形ばかり参加した後、チームのガレージに入り、二度と戻ってこなかった。ポールポジションを確保していたトゥルーリは、どんな気持ちでコースを後にしたことだろう。バトンは今度こそポイントを…と思っていたことだろう。

結果的に、レースに残ったのはブリジストンユーザーであるフェラーリ、ジョーダン、ミナルディの3チーム、6台のみだった。事実上、トップチームはこのうちフェラーリだけなので、問題なく完走するならば、フェラーリ2台の1-2フィニッシュが約束されたような、何の盛り上がりも楽しみもない、珍なるレースになってしまった。

観客はブーイングし、怒り、フェラーリに向けペットボトルやアルミの缶をコース内に投げ入れ、異物を除去するためにマーシャルが危険なコース内に走りこむなどの異様な状況。
こんなことになってしまったのはフェラーリのせいではない(微塵も!)。それでも観客のやり場のない気持ちは、棚ぼた勝利をほぼ手中にしたチームに向けられるのだ。

しかし危険行為はやめい!お前ら、スポーツ観戦する資格ないぞ!

残り22周の時、フェラーリ同士があわや接触!というアブない場面もあったが(何もこんなレースでそんな際どいことをしなくても…)ほぼ山のないレースを終え、6台は1台もリタイアすることなく、メンツから予想される順位も何も変動なく、すべての出走マシンがポイントを手中にして、終わった。

それにしても、ジョーダンのモンテイロとカーティケヤン、ミナルディのアルバースとフリーザッハーは、こんなにTV画面にフューチャーされたのは初めてだよね。緊張しなかったかな?

特に、ポディウムでひとりだけ本当に嬉しそうだったモンテイロ、ちょっと痛々しいくらいだったぞ。シャンパンファイトしたら、振り返ると1位、2位の二人は既に居ない……。さびちい。

F1中継はフジ721でいつも観ているので、カワイちゃんの現地情報(ちょっぴり内部的な情報含む)と、森脇さんの適切なマシン説明、今宮さんの冷静な解説、全部が好きで、今更解説メンバーの全然違う地上波放送に戻れない体に(オイ)なってしまった私…。
中継観るだけでも、金ハラってんだ。次はマシなレースを見せて欲しい。